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空き家の片付け現場では、デパートの手提げ袋や紐、包装紙、スーパーのレジ袋などが100枚以上見つかることがあります。
また、使い終わった歯ブラシのような日常生活で不要になった物まで保管されていることも少なくありません。
これには、親世代が育った時代の「もったいない」という価値観や、物資が乏しかった時代背景が影響しています。
当時の生活環境を少し振り返り、その価値観がどのように形成されたかを見てみましょう。
戦後の日本では、物資が不足していた時期が長く続き、一つひとつの物を大切に使う習慣が根付いていました。
包装紙や紙袋なども貴重な資源として再利用され、「もったいない」という感覚が日常生活の中で自然と身についていたのです。
こうした価値観は家庭や地域社会を通じて親世代に受け継がれ、「もったいない」という考え方は節約のためだけでなく、生きるための知恵でもありました。当時は少ない物を長く使う知恵が生活の基本となっていました。
ただ、今では物が安価に手に入り、大量消費が当たり前の時代となっています。
その結果、親世代の「大切に使う」という価値観を理解しながらも、溢れる物をどう片づけるべきか迷う子世代が増えています。
今では大量生産・大量消費の時代。新しい物が簡単に手に入るため、若い世代は「使い捨て文化」の中で育つことが多く、親世代の「物を大事にする」という価値観とは大きな違いがあります。
親世代の「もったいない」は、ただの節約ではなく「まだ使える」「いずれ使う」という発想にも結びつきます。
そのため、現場では40年以上前のテレビや日用品が押し入れにしまい込まれていることも珍しくありません。
実際に片付けを始めてみると、膨大な量の物に圧倒され、どこから手をつけるべきか分からなくなることもあります。この点について、専門業者も同じ悩みを抱えることがあります。
「私たちのように2150件以上、現場を経験した業者でも、膨大な遺品の量を目のあたりにすると、回収の手順や処分方法に迷うことがあります。
そのため、一瞬『どう片づけたらよいか』と戸惑われるのは当然だと思います。」
親世代の「もったいない」という意識には、物を無駄にしないための知恵や工夫が詰まっています。
戦後の物資不足を背景に、一つの物を長く使い続ける姿勢が自然と身についていたのです。
たとえば、少し破れた袋をテープで補修して再利用したり、使い終えた歯ブラシを「いざというときの備え」として保管しておくなど、物が不足していた時代の経験が反映された行動が見られます。
(※ 実際に片付け現場で見つかった歯ブラシの例です。)
一方で、このことが逆に「片付けの壁」となることも少なくありません。
私たち業者は、こうした現場で親世代の整理観念の特徴とその影響を目の当たりにしています。「もったいない」という思いは素晴らしい一方で、それが次の世代への負担になるケースもあることを現場で実感しています。
実家や空き家を片付ける機会は、単に物を整理するだけでなく、親子の関係をもう一度振り返るきっかけにもなります。
とくに、親の価値観が反映された「もったいない」を否定的に捉えるのではなくて、まずは過去の時代背景と親の苦労を理解しようと努めることが大切です。
親御さんが育った時代には、身近に物が少ないため、一つひとつを大事に扱わなければならなかったという事情があります。
それが今でも続き、大量の物を保管してしまうという状況になっていることを踏まえると、親御さんにとっては十分に筋の通った行動とも言えます。
一方で、子世代は物に困ることが少ない環境で育ち、物を処分する抵抗感が少なくなりがちです。
このギャップをお互いが知ることで、親の家を片付ける際にも「自分とは違う価値観だ」とスムーズに理解し合うことができ、作業中のストレスを和らげる効果が期待できます。
さらに、片付けという行動を一緒に行うことで、思いがけない思い出話や親が大切にしている歴史に触れる機会が生まれます。
たとえば、古いアルバムを見つけたときに写真の背景を教えてもらったり、その時代の暮らしぶりを知ったりすることで、ただ物を処分するのではなく、親御さんの人生や想いを尊重した形で整理を進めることができます。
実家の片付けでは、まず親の生活スタイルや思い入れを尊重することが大切です。
親が存命のうちに整理する際には「親は今の状態に不自由していない」という事実に目を向けると、話し合いがスムーズに進むケースが多く見られます。
さらに、作業の途中で意見が食い違ったときには、一度休憩を取って落ち着いたうえで再度話し合うことで、感情的な衝突を避け、円滑に片付けを続けやすくなります。
そして、片付けを始める前には、『親は今の状態に不自由していない』ということを念頭に置きましょう。こうした意識を持つことで、片付け作業中の対話も穏やかになりやすくなります。
以前、さいたま市内の現場で遺品整理のご依頼をいただいた長女の方より実際にあった話をご紹介します。
見積もりの際に伺ったのは「実家の家に入るのは、8年ぶり」と伝えられました。
理由を伺うと、片づけを進める中で親子で意見の食い違いが生じ、感情的になってしまったとのことでした。
その際、親御さんから「私の目の黒いうちはあなたを家には入れない!」と言われてしまい、それ以来、お互いに距離を置いていたそうです。
このように、親世代が大切にしてきた物に対する思いがあるため、片づけは慎重に進める必要があります。
そのため、実家の片付けを進める際には、親とのコミュニケーションが重要な鍵となります。親が大切にしてきた物に対する気持ちに配慮し、話し合いを進めることで、お互いが納得したうえで片づけが進められます。
特に感情的になりやすい場面では、無理に作業を進めるのではなく、一度休憩を取って冷静になるなどの対応が大切です。親との円滑なコミュニケーションが、最終的に円満な片付けにつながります。
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